2019年09月30日
『一人ひとりの食料安全保障を FAO駐日連絡事務所 所長 M・チャールズ・ボリコさん』
今日は行き渋り娘の中学は学校の都合でお休み。なので気楽にしんぶんの仕分けに集中できる~
今週の新婦人しんぶん☆勝手にピックアップ☆10月3日号
『一人ひとりの食料安全保障を FAO駐日連絡事務所 所長 M・チャールズ・ボリコさん』
今年から2028年までとりくまれる「家族農業10年」。そこから見える世界の課題について、FAO駐日連絡事務所 所長 M・チャールズ・ボリコ所長に聞きました。
世界の食料の8割は、小規模な農家が生産しています。農家の9割は家族農業。家族農業には土を耕し生産することだけでなく、水産業や畜産業、林業も含まれます。国連総会で全会一致で採択された「家族農業の10年」は、家族農業が果たす重要性を理解し、広げ、世界各国が支援を強化することを求めています。
世界人口は70億人ですが、今のペースでいくと2050年には、97億人に達する可能性があり、食糧生産をさらに50~60%増産させなければなりません。食料の9割は土壌で生産されていますが、人間の活動の影響で5秒ごとにサッカー競技場1面分の広さの土壌が失われている。水についても、たとえば北アフリカや中東では、この40年間に淡水が6割も減少しています。土壌の劣化と水不足がこのまま続けば、食糧の増産は不可能となってしまいます。
私も田舎育ちで、農作業を手伝いました。その中で植物の名前や作物の育て方や、2~3年耕作したら農地を休ませることを知りました。
家族農業は自分たちが生きていくためにも、周囲の自然と調和を図りながら生産を続けてきました。自然にやさしく、生物多様性を守り、持続可能性があり、生計にも貢献しています。コミュニティの中で種を交換したり、助け合い、きずなを深め、平和な社会づくりに貢献しています。
このような家族農業を支援することは、「持続可能な開発目標」(SDGs)の多くの目標達成に重なります。
「家族農業の10年」では、食糧安全保障が世界中で確保されることをめざしています。それには、いくつかのポイントがあります。まず自分が暮らしているところに十分な食料があること(供給可能性)、そして適正な代金ですぐに入手できること(入手可能性)、さらに栄養バランスのとれた食べ方ができること(栄養性)これらが安定していること(安定性)が必要です。
重要なのは、これが国や地域の話ではなく、個人や家庭の話だということです。昨日は食べられたけど、今日は水だけ、明日は分からないという家族がいますが、この4つが満たされなければ、食の安全保障が確保されているとは言えません。
実は世界中の人たちが十分食べられるだけの食糧があるのに、約8億2000万人以上、9人に1人が1年以上十分な食料を得ることができず、飢餓に苦しんでいます。減り続けてきた飢餓人口が、この4年間は増加し続けています。
飢餓人口が増えた理由はいくつかありますが、まずは干ばつや豪雨など自然災害を多発させている気候変動、そして紛争です。飢餓人口の6割は戦争や内乱など、紛争の影響下にある国の人びとで、食べられないことが原因で、さらにトラブルが生じています。
急速に経済発展を遂げ、豊かになった国々での肉食の増加や、エネルギーへの転用もその要因です。
特に飢餓を増やす大きな原因となっているのが、世界で生産されている食料の3分の1、13億トンあまりが捨てられていることです。途上国では、保存の設備や輸送手段が不十分で、食料が痛んでダメになることが多いのですが、先進国では経済的な豊かさから、必要以上に食料を買っては、小売りや消費者の段階で捨てられるものが多くあります。日本は品質だけではなく、外観にも厳しく、食べられるものをたくさん捨てています。
これは経済的な損失だけではなく、温室効果ガスの発生原因となり、地球温暖化を進行させ、気候変動を招きます。異常気象が起こり、最も深刻な打撃を受けるのが家族農業です。食品廃棄をなくすことは、家族農業を応援することにつながるのです。
農業は経済だけではなく、地域の習慣と文化の維持にもつながっています。日本では、コメの収穫に感謝してお祭りがありますが、世界中そうなのです。
また日本には、FAOが認定する世界農業遺産が11カ所と、世界第2位の多さです。すばらしいことです。世界農業遺産は、家族農業が集まり、自然との調和をはかりながら何世代にもわたり、独自性のある農林漁業を受け継ぎ、営んできたところです。変化する経済や環境の中で、伝統的な知恵を生かし、臨機応変に対応していく。文化や伝統、生物多様性、生計、食の安全保障につながる営みであり、すばらしい景観も生み出しています。
朱鷺と共生する新潟・佐渡の里山、石川・能登の里山里海…私も9カ所訪れました。みなさんも訪ねてみてください。そして日本のすばらしい家族農業の営みを、ぜひ残していってください。
今週の新婦人しんぶん☆勝手にピックアップ☆10月3日号
『一人ひとりの食料安全保障を FAO駐日連絡事務所 所長 M・チャールズ・ボリコさん』
今年から2028年までとりくまれる「家族農業10年」。そこから見える世界の課題について、FAO駐日連絡事務所 所長 M・チャールズ・ボリコ所長に聞きました。
世界の食料の8割は、小規模な農家が生産しています。農家の9割は家族農業。家族農業には土を耕し生産することだけでなく、水産業や畜産業、林業も含まれます。国連総会で全会一致で採択された「家族農業の10年」は、家族農業が果たす重要性を理解し、広げ、世界各国が支援を強化することを求めています。
世界人口は70億人ですが、今のペースでいくと2050年には、97億人に達する可能性があり、食糧生産をさらに50~60%増産させなければなりません。食料の9割は土壌で生産されていますが、人間の活動の影響で5秒ごとにサッカー競技場1面分の広さの土壌が失われている。水についても、たとえば北アフリカや中東では、この40年間に淡水が6割も減少しています。土壌の劣化と水不足がこのまま続けば、食糧の増産は不可能となってしまいます。
私も田舎育ちで、農作業を手伝いました。その中で植物の名前や作物の育て方や、2~3年耕作したら農地を休ませることを知りました。
家族農業は自分たちが生きていくためにも、周囲の自然と調和を図りながら生産を続けてきました。自然にやさしく、生物多様性を守り、持続可能性があり、生計にも貢献しています。コミュニティの中で種を交換したり、助け合い、きずなを深め、平和な社会づくりに貢献しています。
このような家族農業を支援することは、「持続可能な開発目標」(SDGs)の多くの目標達成に重なります。
「家族農業の10年」では、食糧安全保障が世界中で確保されることをめざしています。それには、いくつかのポイントがあります。まず自分が暮らしているところに十分な食料があること(供給可能性)、そして適正な代金ですぐに入手できること(入手可能性)、さらに栄養バランスのとれた食べ方ができること(栄養性)これらが安定していること(安定性)が必要です。
重要なのは、これが国や地域の話ではなく、個人や家庭の話だということです。昨日は食べられたけど、今日は水だけ、明日は分からないという家族がいますが、この4つが満たされなければ、食の安全保障が確保されているとは言えません。
実は世界中の人たちが十分食べられるだけの食糧があるのに、約8億2000万人以上、9人に1人が1年以上十分な食料を得ることができず、飢餓に苦しんでいます。減り続けてきた飢餓人口が、この4年間は増加し続けています。
飢餓人口が増えた理由はいくつかありますが、まずは干ばつや豪雨など自然災害を多発させている気候変動、そして紛争です。飢餓人口の6割は戦争や内乱など、紛争の影響下にある国の人びとで、食べられないことが原因で、さらにトラブルが生じています。
急速に経済発展を遂げ、豊かになった国々での肉食の増加や、エネルギーへの転用もその要因です。
特に飢餓を増やす大きな原因となっているのが、世界で生産されている食料の3分の1、13億トンあまりが捨てられていることです。途上国では、保存の設備や輸送手段が不十分で、食料が痛んでダメになることが多いのですが、先進国では経済的な豊かさから、必要以上に食料を買っては、小売りや消費者の段階で捨てられるものが多くあります。日本は品質だけではなく、外観にも厳しく、食べられるものをたくさん捨てています。
これは経済的な損失だけではなく、温室効果ガスの発生原因となり、地球温暖化を進行させ、気候変動を招きます。異常気象が起こり、最も深刻な打撃を受けるのが家族農業です。食品廃棄をなくすことは、家族農業を応援することにつながるのです。
農業は経済だけではなく、地域の習慣と文化の維持にもつながっています。日本では、コメの収穫に感謝してお祭りがありますが、世界中そうなのです。
また日本には、FAOが認定する世界農業遺産が11カ所と、世界第2位の多さです。すばらしいことです。世界農業遺産は、家族農業が集まり、自然との調和をはかりながら何世代にもわたり、独自性のある農林漁業を受け継ぎ、営んできたところです。変化する経済や環境の中で、伝統的な知恵を生かし、臨機応変に対応していく。文化や伝統、生物多様性、生計、食の安全保障につながる営みであり、すばらしい景観も生み出しています。
朱鷺と共生する新潟・佐渡の里山、石川・能登の里山里海…私も9カ所訪れました。みなさんも訪ねてみてください。そして日本のすばらしい家族農業の営みを、ぜひ残していってください。