2013年09月30日
『日本国憲法を口語訳してみたら』著者 塚田薫さん
今週も水疱瘡の娘がお家で留守番。運動会の練習頑張ってる息子はいつ発症するかな〜f^_^;運動会後が良いんだけどね。
今週の新婦人しんぶん☆勝手にピックアップ☆10月3日号
『日本国憲法を口語訳してみたら』
著者 塚田薫さん(24 愛知大学法学部在学中)
上から目線に思えた憲法がどんどん身近になった!
憲法・超口語訳 ウェブ上で反響
憲法の口語訳を思いついたのは、飲み屋でのこと。「法学部で、憲法専攻してます」って自己紹介しても、みんなポカンとなるので、「こんなことやっているんだよ」って憲法の口語訳をしてみたら、わりと評判がよかったんです。気をよくして、インターネット上の掲示板「2ちやんねる」で書き込みを始めたら、予想以上の反応がきて、驚きました。
夜中だというのに、「これなら読める(笑)」「がんばれ103条まであるぞ」と書き込みが相次ぎ、三晩で全文を訳しました。
昨年の3月に書き込みをはじめ、すぐに「本にしない?」と声をかけられ、5ヶ月後には出版が決まりました。ぼくは中学もろくに行かなかったし、高校も中退。定時制に入り直して、24歳でまだ大学生やっている。基本的な勉強が不足しているので、それからは人生初めてってくらい勉強しました。特に、憲法なんてなかった時代から、「憲法は国民が国家を縛るための法だからね」って立憲主義の思想を確立するまでの、苦難に満ちた世界史を必死で勉強しました。
本にするにあたって、ゼミの顧問、憲法学者の長峯信彦教授に細かくチエックしてもらいました。先生の顔色がどんどん悪くなって…。出来の悪い学生を居残りで指導する教授といった雰囲気だったのかな(笑)。
訳すのに、迷う条文もありました。たとえば両性の平等をうたった第24条。「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し…」という原文の“両性の合意”は、今だったら男と女の関係以外にもありうるだろうなって。でも家父長制度を合法化していた帝国憲法から、男女平等を原則とするいまの憲法へ変わった経緯を考えると、男と女の文字に強い意志を感じました。で、「まずいっておくけど、男女はどっちが偉いとか、ないからな。結婚はお互いがこの人と一緒になりたいと思ったからこそ、できるんだ。結婚したら、仲良く助け合って、幸せに暮らそうぜ…」と。
昨年4月に発表された自民党の憲法改正草案も口語訳しました。まず前文からかっこよくない。自分の国はこんなかっこいんだーって、そんなオレさまみたいな憲法、謙虚じゃないなって。誇りってにじみ出るものだと思うんですよ。誰かに与えられるものではないし。
バブルが弾けた後に生まれた僕たちは、経済も人生も、右肩上がりのベクレルから個人がバラバラな方向へ散らされるなか生きてきました。ユーチューブで好きな音楽を見つけて、SNSで24時間だれかとつながれますが、点から面にはなれず寂しいのです。同じような寂しさを感じている同世代は多いと思います。
「人権なんてお花畑だ」と言う方もいました。僕もその通りだと思います。憲法は単なる理念や理想ではなく、いまの時代に合わせてどう使っていくのかという道具のようなもの。だったら、憲法「改正」を急ぐ理由はないなと思いました。僕が僕として生きていくために、この憲法はわりとよくできている。資料を読んだり、口語訳して、上から目線に感じていた憲法が急に身近になりワクワクしました。
僕が法学部に進学したのは、当時としてはめずらしく大学で法学を学んだ祖母の影響です。北海道に住む母方の祖母は、新婦人しんぶんの読者です。地に足をつく、社会を見つめてきた2人の祖母は僕の自慢です。
新婦人のみなさんが、お国言葉で憲法を訳したり、紙芝居にしたり、タペストリーや絵手紙にしていると聞き、新鮮でした。
僕も僕の憲法を、地に足つけて考えつづけていきたいと思います。
『日本国憲法を口語訳してみたら』
塚田薫
幻冬社 1100+税
今週の新婦人しんぶん☆勝手にピックアップ☆10月3日号
『日本国憲法を口語訳してみたら』
著者 塚田薫さん(24 愛知大学法学部在学中)
上から目線に思えた憲法がどんどん身近になった!
憲法・超口語訳 ウェブ上で反響
憲法の口語訳を思いついたのは、飲み屋でのこと。「法学部で、憲法専攻してます」って自己紹介しても、みんなポカンとなるので、「こんなことやっているんだよ」って憲法の口語訳をしてみたら、わりと評判がよかったんです。気をよくして、インターネット上の掲示板「2ちやんねる」で書き込みを始めたら、予想以上の反応がきて、驚きました。
夜中だというのに、「これなら読める(笑)」「がんばれ103条まであるぞ」と書き込みが相次ぎ、三晩で全文を訳しました。
昨年の3月に書き込みをはじめ、すぐに「本にしない?」と声をかけられ、5ヶ月後には出版が決まりました。ぼくは中学もろくに行かなかったし、高校も中退。定時制に入り直して、24歳でまだ大学生やっている。基本的な勉強が不足しているので、それからは人生初めてってくらい勉強しました。特に、憲法なんてなかった時代から、「憲法は国民が国家を縛るための法だからね」って立憲主義の思想を確立するまでの、苦難に満ちた世界史を必死で勉強しました。
本にするにあたって、ゼミの顧問、憲法学者の長峯信彦教授に細かくチエックしてもらいました。先生の顔色がどんどん悪くなって…。出来の悪い学生を居残りで指導する教授といった雰囲気だったのかな(笑)。
訳すのに、迷う条文もありました。たとえば両性の平等をうたった第24条。「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し…」という原文の“両性の合意”は、今だったら男と女の関係以外にもありうるだろうなって。でも家父長制度を合法化していた帝国憲法から、男女平等を原則とするいまの憲法へ変わった経緯を考えると、男と女の文字に強い意志を感じました。で、「まずいっておくけど、男女はどっちが偉いとか、ないからな。結婚はお互いがこの人と一緒になりたいと思ったからこそ、できるんだ。結婚したら、仲良く助け合って、幸せに暮らそうぜ…」と。
昨年4月に発表された自民党の憲法改正草案も口語訳しました。まず前文からかっこよくない。自分の国はこんなかっこいんだーって、そんなオレさまみたいな憲法、謙虚じゃないなって。誇りってにじみ出るものだと思うんですよ。誰かに与えられるものではないし。
バブルが弾けた後に生まれた僕たちは、経済も人生も、右肩上がりのベクレルから個人がバラバラな方向へ散らされるなか生きてきました。ユーチューブで好きな音楽を見つけて、SNSで24時間だれかとつながれますが、点から面にはなれず寂しいのです。同じような寂しさを感じている同世代は多いと思います。
「人権なんてお花畑だ」と言う方もいました。僕もその通りだと思います。憲法は単なる理念や理想ではなく、いまの時代に合わせてどう使っていくのかという道具のようなもの。だったら、憲法「改正」を急ぐ理由はないなと思いました。僕が僕として生きていくために、この憲法はわりとよくできている。資料を読んだり、口語訳して、上から目線に感じていた憲法が急に身近になりワクワクしました。
僕が法学部に進学したのは、当時としてはめずらしく大学で法学を学んだ祖母の影響です。北海道に住む母方の祖母は、新婦人しんぶんの読者です。地に足をつく、社会を見つめてきた2人の祖母は僕の自慢です。
新婦人のみなさんが、お国言葉で憲法を訳したり、紙芝居にしたり、タペストリーや絵手紙にしていると聞き、新鮮でした。
僕も僕の憲法を、地に足つけて考えつづけていきたいと思います。
『日本国憲法を口語訳してみたら』
塚田薫
幻冬社 1100+税
Posted by つむたい at 16:07│Comments(0)
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