2013年04月01日

『画家として、女性として 上村松園が描いたもの』

今日から4月。子どもたちの新学期はまだですが、別れの季節から、新しい出会いに期待が高まります。

今週の新婦人しんぶん☆勝手にピックアップ☆4月4日号

『画家として、女性として 上村松園が描いたもの』

明治、大正、昭和を生き、女性ならではの視点で内面の美しさを描いた日本画家上村松園の、名古屋市内で初の展覧会が開かれます。

「3年前にも東京、京都の国立近代美術館で開催されましたが、今回は隠れた名品を発掘、美術館ではなかなか見ることができない個人蔵の作品が90点中の40点を占めています」

「小説や映画になった松園ですなが、史実に沿って、女であることの苦労を乗り越え、芸術の高みに達したその人生と重ねて、見てもらえるように工夫しました」

展示は1章から5章まで。1章は23歳までの勉強を重ね自分のスタイルを模索する修業時代。1875(明治8)年、京都四条御幸町で生まれた松園は幼いときから絵を描くのが好きで、母の営む茶葉屋の店先で絵ばかり描いていたとか、小学校でも友達から描いてとせがまれた話が自叙伝『青眉抄』に綴られています。誕生前に父親が他界、女手一つで育てた母、仲子は、「女だてらに」と美術学校進学に反対する親せきに「つう(本名、つね)さんの好きな道やもん」と、美術学校に通わせたのでした。

15歳でも描いた《四季美人図》(1890―明治23年)が、第3回勧業博覧会で入賞、英国王子に買い上げられ評判になりました。

それまで日本画家は、見本帳をとにかく書き写しその流派の書き方を学んでいくことから始まります。松園は縮図帳(スケッチブック)をいつも持っていて、何でも書き写していたようです。

「そのデッサン力はとても達者です。松園のすごいのは、全部筆描きだということ。普段から筆を使っているので本絵の筆運びがみごとで、細く滑らかな線を描くことができました」

第2章は1899年から。《人生の花》が、東京の展覧会で、下山観山、菱田春草、横山大観につぐ銀牌を受賞し画壇に認められたのでした。何か賞をもらって翌日、塾へ行くと、ねたまれ、道具を隠されていたことも。《人生の花》は、嫁ぐ直前の花嫁の緊張感や恥じらいの一方、母のたくましい姿、2人の内面の対比がよくわかります。

「前期展示では同じ絵柄の二つの作品を紹介しています。後で描いたものは母親の袖の直線が目立つように変更され、母の威厳が加わっています」

同じ絵柄色や着物の柄などを変えていくつも描いています」

 「朝起きてニカワを炊くことから始まり、顔料をすり潰して絵の具をつくる。手間のかかる作業を経て、松園は同じ絵柄を何枚も書いて自分のものに。いかに精進していたかがわかります」

画家として世間に求められバリバリ仕事をしていたこの時期に、長男を出産(1902年)し、未婚の母に。母は茶葉屋を閉めて、松園を支えます。1908年の作品《月影》は、娘が眺める縁側に移る松の影、母の目線の先に丸い月を連想さすます。

京都の展覧会に出品した作品に鉛筆でいたずら書きをされた事件がおこりました。謝りもせず修正を要求する職員に、松園は毅然とした態度で展覧会最終日までそのまま展示させたとのエピソードがあります。理不尽なことに屈服しない芯の強さを感じます。

展覧会の大きなポスターにもなっている《青眉》は母の死から2ヵ月の内に描いた、松園59歳の作品です。当時、母になった女性が眉を剃る習慣がありました。母のその眉が薄青くひじょうに美しかったと松園は書いています。

「第3章と4章では、さらに女性の内面を描く時代へ。母の死を境に妻や母など、女性の強さみたいな内面を表現するものが多くなっていきます」

“私を生んだ母は私の芸術までも生んでくれた”っ語るほど、母の存在は大きく尊敬する女性でした。

戦争の時代は、家事にいそしむ女性や、《待月》のように遠くを見つめる女性が描かれています。

宮本百合子は、終戦2年前の秋(昭和18年)、新聞でみた松園の夏の日に張りものをしている妻の絵に、その新鮮さ、たっぷりさに目のなかが涼しくなるようないい印象を受けた。60何歳かに達した年で、このように精気ある絵をかく女性の粘りに感服し、喜びを感じたと書いています。

終戦4年後の《初夏の夕》(1949年)が松園の絶筆です。「74歳で亡くなる2ヵ月前の、蛍を追いかけているさわやかな作品です。気に入った作品をじっくり見て、松園の思いを感じてほしいと思います」


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この記事へのコメント
ステキですね・日ごろ芸術に興味もてない私ですが、記事をよんで、行ってみたくなりました。「読者優待券」に応募しました。
Posted by セブン at 2013年04月05日 10:20
セブンさん

行ってみたくなりますよね(^O^)生き方が素敵だなって。

今回、なかなか見られない個人収集の作品も展示されるとか。

読者優待券当たると良いですね。
Posted by つむたい at 2013年04月06日 00:13
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